この記事ではご自分で寝返りや起き上がることができない方に対して行う寝返り・起き上がりの介助方法やコツを詳しく説明します。
寝返りの介助方法
寝返りは、介助者の方に向かって動くよう介助することが基本となります。
ご本人の姿勢は、腕を組む、膝を立てるなどして、身体を小さくしていただきます。
介助者は、手の平で肩甲骨を支え、もう片方の手で骨盤横、大腿部を支えます。
お声がけをして、顔を動く方に向けていただいてから、上半身(肩甲骨)→下半身(骨盤横、大腿部)の順で手前に引くように介助します。
先に上半身を動かすと、少し身体のねじれがおきますが、これが自然な動きです。
寝返りを小さい力で介助するコツ
- ご本人の身体は小さくする
- 顔の向きを動く方に向ける
起き上がりの介助
起き上がりの介助は転落事故になることが多いため、ゆっくり慎重に行ってください。
安全な起き上がりの介助方法
安全な介助に必要なポイントを意識して起き上がり介助をやってみましょう。
1.環境整備(物品)
ベッドの高さを介助姿勢の重心の位置まで上げ、サイドレールをはずす
2. ご本人が動きやすい姿勢をつくる
- 完全な側臥位
- 顎を引く
- 股関節を90度に曲げる
- 膝をベッドの端から出す
- 踵を下ろす
3.介助者の姿勢
- ご本人の身体に介助者が身体を近づけて密着させる
- 腕の内側全体で側頭部を、手のひらで背中を支える
- 大腿部の膝寄りに手を添える
- 介助者は足を斜めに広く開く
4.自然な体の動きに合わせた介助
- 介助者の身体の方を見てもらい、顔を起き上がる方向に向ける
- ご本人の頭が動く軌跡に注意し、重心移動を利用して身体を起こしていく(腕の力で起こさない)
5.ご本人の姿勢(安定していることを確認する)
身体を密着させたまま起き上がると、自然にご本人の正面に自分の身体が来るので、後方・側方に倒れないよう支えやすい。
小さい力で介助するコツ
- 身体は小さくする
- 顔の向きを動く方に向ける
- 重心の高さを合わせて密着する
- 支持基底面を意識する
起き上がり介助のNG例
NG例その1.首だけを支えて介助
首だけを支えて起き上がり介助をすると首に負担がかかります。
首は人間の身体の中でも弱い部分なので、必ず側頭部から背中までを支えて介助を行いましょう。
NG例その2.身体を密着させずに介助を行う
身体を密着させずに介助を行うと、姿勢が不安定になり、介助者の腰をいためやすい。
NG例その3.介助直後すぐにご利用者から離れる
起き上がり直後の、姿勢が安定していない状態でご利用者から離れると危険です。ご利用者の姿勢が安定したことを確認してから離れるようにします。
小さい力で介助することで、ご本人の身体への負担を軽減する
身体を無理に動かそうとすると、ご本人に大きな負担がかかるばかりか、介助者側にも余計な負担がかかることになります。
そうならないためにも、身体の動きの特性や力と運動の関係を十分に理解することが大切です。
小さい力で安全に介助するコツは、介助全般にわたって使える技術です。さまざまな場面でコツを使った介助を行うよう心がけましょう。
※記事の内容は2021年3月時点の情報をもとに作成しています。

著者プロフィール
介護アンテナ編集部Kaigo Antenna Editorial Department














