介護現場における手洗い、うがい、手袋の着脱、マスクの付け方など正しい感染症予防対策(スタンダードプリコーション)について詳しく解説します。介護職の方は施設やご自宅でご利用者、自分や同僚を守るためスタンダードプリコーションを徹底しましょう。
細菌やウイルスといった「病原体」が身体に侵入して繁殖して起こる病気をいいます。病原体の病気を起こそうとする力(病原性・毒性)が、人の抵抗力(免疫力)より強くなった場合に起こります。
なお、病原体が身体に侵入する経路を「感染経路」、病原体が侵入した場合、繁殖する可能性がある人を「感受性宿主」といい、「病原体」とあわせて、『感染症成立の3大要因』と言われています。
よく知られている感染経路は次の6つです。
例:MRSA、疥癬、水虫、ノロウイルス、緑膿菌など
咳やくしゃみ、会話などで、飛沫粒子により感染 ※1m以内に床に落下し、空中を浮遊し続けることはない。
例:インフルエンザ、レジオネラ症、マイコプラズマ、溶連菌性咽頭炎、風疹、百日咳など
咳やくしゃみなどの飛沫の水分が蒸発し、残った飛沫核という小さな粒子を吸引することによって感染
例:結核、はしか、水疱瘡など
感染された食品を経口摂取で感染
例:ノロウイルス、O157、食中毒、サルモネラ、ロタウイルスなど
病原体に汚染された血液が、傷口や粘膜に触れて感染(針刺し事故、感染者の外相手当の際など)
例:HIV、B型肝炎、C型肝炎
蚊やネズミなどが媒介して感染
例:蚊(日本脳炎/マラリア)、シラミ(発疹チフス)、ハエ(O157/赤痢)、鳥(鳥インフルエンザ)
感染症を成立させないためには、感染経路を遮断する・感受性宿主の免疫力を高めるという2つの大きな対策が考えられます。
介護サービスのご利用者の多くは介護状態にあり、複数の病気を患っている高齢者です。中には寝たきりになり免疫力が落ちている方もおり、感染症の発症はとても怖いものです。
しかし、介護施設などは集団生活の場で多くの方が出入りするため、感染症の発生しやすい環境となります。介護職は感染症を発生させないために感染症対策の徹底が求められます。
残念ながら感染症が発生した場合は、拡大させないことが最も重要になります。併せて発症者の介護も丁寧に行わなければなりません。
「感染経路」を知り、それを遮断するための具体的な行動ができるように、感染症について学び、症状やどのような感染経路があるのかを知ることが大切になります。
基本的な感染症予防対策
免疫力を高めることは、決して難しいことではありません。介護職が当たり前に行っている「介護(ケア)」がご利用者の免疫力を高めます。
逆に当たり前のことが不足している状況では、たとえ若く、健康的な介護職の方であっても、免疫力は低下し、感受性宿主となる危険性が高まることを意識しましょう。
※ストレスの緩和
スタンダードプリコーションとは、感染症の有無にかかわらず、ご利用者の安全・安心のためにすべてのケアに徹底した感染対策を行い、さまざまな感染からご利用者及び自身を守ることをいいます。
手洗い、うがい、手袋やマスクの装着は必ず正しい方法で実施しなければ意味がありません。ご利用者、ご自身の命を守るという視点でスタンダードプリコーションを徹底することを心がけましょう。
介護職の心構え正しい手洗い、うがいの実施方法はこちら
介護職の心構え正しいマスクの着脱方法はこちら
介護職の心構え正しい手袋の外し方はこちら
※記事の内容は2021年3月時点の情報をもとに作成しています。
介護アンテナ編集部Kaigo Antenna Editorial Department
プロフィール
株式会社ベネッセスタイルケア運営の介護アンテナ。編集部では、ベネッセの25年以上にわたる介護のノウハウをはじめ、日々介護の現場で活躍している介護福祉士や介護支援専門員(ケアマネジャー)、看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などの高齢者支援のスペシャリストたちの実践知や日々のお仕事に役立つ情報をお届けします!
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