コミュニケーション能力を高めるということは、質の高い介護を提供する上でとても重要なことです。この記事では介護職の基本的なコミュニケーションについてわかりやすくご紹介します。
ご利用者の中には、ご自身が思っていることを伝えられない方や、会話での意思疎通が取れない方がいらっしゃいます。
介護職はご利用者が求めていることは何なのか、言動やいつものご様子との比較などから気づく力が求められます。
自分を知ることを「自己覚知」と言います。自らの性格や感情などを客観的に理解することで、自分の価値観や感情に影響されないサービス提供を行うことができます。
この自己覚知は、対人援助職(介護職)としてはとても重要なことです。
自分はどのような場合に、どのような反応をするのか、を自分自身で認識(覚知)した上で対人援助に臨むことが大切ということです。
自分が思っている自分と他人から見た自分は違います。他人からも自分はどのように見えているかを確認してみてください。
自己知覚の例
→自分を知って、悪いところは意識し、態度、発言、行動をコントロールする。
人の話を聞くことを「傾聴」と言います。人とのコミュニケーションの一番の基本となるのが傾聴です。
当然のことですが、ご利用者とあなたは違う存在です。
年齢も立場も経験も育ってきた環境も違うことを認知し、相手を知ることで、違った視点から物ごとをみることができるようになります。
ご利用者の今までの暮らし方や考え方、こだわりを知ることが、その方らしさに寄り添ったケアに繋がります。
自分の話に共感してもらえるということは誰にとっても嬉しいことです。
もしも自分自身と沿わない考え方があっても決して反論を言わず「そういった考えもあるんだな」とまずは相手の考え方を受け入れることが大切です。
視野を広げ、「相手の価値観に共感する」ことを心がけましょう。
共感・傾聴することは、全ての要望に答えるということではありません。
コミュニケーション・サービス提供を円滑に実施するために介護職としての役割以上の期待をご利用者に抱かせるような発言や行動は、その場では円滑に進むと思われますが、結果「できない」=「期待に添えない」となり、その信頼関係はすぐに破綻し、ご利用者・援助者の双方にとって不幸な結果となります。
援助者としての役割を忘れず、『できることはできる』『できないことはできない』ことを丁寧に説明することが継続的な信頼関係には必要です。
馴れ馴れしい態度と信頼感が表れた態度は明確に違います。
介護職の方の中にはご利用者をあだ名、ファーストネームで読んだり、敬語を使わずに友人のようなラフな言葉づかいで会話する方もいらっしゃるかもしれませんが、ご利用者はそれをどう思っていらっしゃるのか改めて振り返ってみてください。
ご利用者は多くの場合、援助者よりも年上で、これまでさまざまな経験を積まれた人生の先輩です。決して援助者の方が立場が上などと勘違いしてはいけません。
長く担当させていただいているご利用者でも、改めて尊敬の気持ちを持ち、一つひとつのサービスを丁寧に提供するよう心がけましょう。
ここでご紹介した5つのポイントはコミュニケーションの基本となるものです。
適切なコミュニケーションを積み重ねていくことで、信頼関係が生まれ、それがより良いケアに繋がります。
まずは1つでも実践してみることが重要です。ぜひ参考にし、明日からの仕事に活かしてみてください。
※記事の内容は2021年3月時点の情報をもとに作成しています。
介護アンテナ編集部Kaigo Antenna Editorial Department
プロフィール
株式会社ベネッセスタイルケア運営の介護アンテナ。編集部では、ベネッセの25年以上にわたる介護のノウハウをはじめ、日々介護の現場で活躍している介護福祉士や介護支援専門員(ケアマネジャー)、看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などの高齢者支援のスペシャリストたちの実践知や日々のお仕事に役立つ情報をお届けします!
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