公開日:2020/11/06
更新日:2022/01/26
登録者:介護アンテナ編集部
老人ホームやデイサービスなどの介護施設で行うレクリエーションとして近年注目されているスポーツ競技「モルック」。この記事ではモルックのルールや必要な道具、高齢者におすすめな理由などをご紹介しています。
⽼⼈ホームなど介護施設で何か新しいレクリエーションをしたいと思ってもどんなものがあるか悩んだり探されたりする⽅も多いのではないでしょうか。そんなみなさんに今回は⽼若男⼥問わず楽しめるフィンランド発のスポーツ、「モルック」をご紹介します。
モルックとは、「モルック」と言われる木の棒を投げ、地面に立てた「スキットル」という複数の木のピンを倒して獲得した点数を競うフィンランドで生まれたスポーツです。 最近ではメディアでも取り上げられることが多く、またルールがシンプルで、技術だけではなく戦略性が鍵を握ることから介護施設のアクティビティとしても注目されています。
⽇本モルック協会理事の神保さんにも取材のご協⼒をいただき、ルールのほかにコツやモルックが高齢者におすすめな理由などをお伺いしましたので、ぜひご参考ください。
モルックを行うのに必要な道具の一式を紹介します。
投げる木の棒のことを指します。
それぞれに1~12の数字が書かれている12本の木の棒のことを指します。
モルックを投げる位置に置く木のことをモルッカーリと言います。スキットルとモルックはセットで売られていることが多いですが、モルッカーリは別売りになっていることが多いです。
2チーム以上に分かれ、交互にモルックを投げます。スキットルを倒し、得点を重ね先に50点ピッタリにした方の勝ちです。50点を超えた場合は25点に戻り継続します。
時間があまりない場合は30点制(15点戻り)で行っても大丈夫です。プレイ人数は自由ですが、1チーム3人~4人程度だと楽しくプレイすることができます。
スキットルは画像のように真ん中に高得点の9・10・11・12を配置し、右側に偶数、左側に奇数になるように並べます。
次に3~4m(日本モルック協会主催の公式大会では3.5m)離れたところにモルッカーリを置きます。もしモルッカーリがない場合は線を描いたりロープなどで代用しても大丈夫です。
チームに分かれ交互にモルックを投げ、スキットルを倒します。モルックは真っすぐ水平に投げるのがスキットルに当てるコツです。この時注意しなければいけないのが、モルックは下投げで投げるということです。
モルックの持ち方は縦に持ったり手の甲が上になるような逆手に持ったりと自由です。また足も両足を揃える必要はなく片足を後ろに下げたりしても大丈夫です。ただし、投げる前後でモルッカーリに触れたり、踏み超えるのは反則になります。
スキットルの得点は下記の2通りあります。
倒れたスキットルが重なっていた場合はカウントされません。また、3回続けてスキットルが倒せなかった場合は失格となります。
下の画像では「10」が重なって完全に接地していないので数えず、得点は11点となります。
倒れたスキットルは倒れたその場で根本から立て、点数が正面を向くように直します。
左の画像が倒れた時で右の画像が立てた後です。
画像のように「10」を倒したい場合、通常の投げ方で狙うと倒した際に「10」のスキットルが後ろまで転がってしまい「11」も倒してしまう可能性があります。そうならないための技術がバックスピンです。
画像のように手の甲が上になるようモルックを握り、山なりに投げます。そうすると倒れた後も大きく転がったり、散ったりすることなく倒すことができるので特定の点数をピンポイントで倒したい時に有効です。
複数本が固まっているところから1本だけを狙いたい時や、画像の「1・10・11」や「2・4・6」のように横並びになっている状況で真ん中のスキットルを倒したい場合は縦投げが有効です。
モルックの端を持ち、真っすぐ飛ぶように投げることでピンポイントでスキットルを倒すことができます。この技術があるとスキットルが複数本並んでいる状況でも欲しい点数のスキットルのみを狙えるようになるので、慣れてきたらぜひ練習してみてください。
リハビリにも取り入れている施設があるというモルック。そんなモルックが介護施設のアクティビティとしておすすめな理由は3点挙げられます。
ルールで説明した通り、モルックは最初に50点に到達したチームが勝利します。そのため50点に到達するためには、「残り何点必要なのか」、「50点到達するにはどのスキットルを倒せばよいのか」など得点の計算をする必要があるため、楽しみながら自然と脳トレにもなっています。
スポーツでありながら高齢者でも楽しめるポイントとして、適度な運動量という点が挙げられます。「投げる=モルックを投げる」、「歩く=倒したスキットルまで⾏き、定位置に帰る」、「しゃがむ=倒したスキットルを⽴てる」といった具合に適度な運動量のため高齢者の方でも無理なく安心して楽しむことができます。
モルックはチーム戦で順番に投げていきます。試合が進むにつれスキットルは散らばっていくため、どのスキットルを倒した方がよいのか、また敵の得点を阻むために配置にするようどこを狙ったほうがよいのか、など投げる技術だけでなく戦略も勝負の鍵を握ります。
そのためチームで行う作戦会議もモルックの醍醐味のひとつで、アクティビティで行う際にはみなさんで盛り上がれるポイントのひとつでもあります。
今回取材させていただいたのは日本モルック協会で理事を務める神保匡さん。7年前、ご家族とフィンランドへ旅行に訪れたことがきっかけでモルックと出会い、すぐにその魅力にはまったそう。
インタビューでは、実演しながらルールやゲームの進め方を丁寧に解説してくださったのですが、その腕前も圧巻。「裏投げを使うケース」や「縦投げを使うケース」などの実演も、「倒せるかな~」と言いながらも見事に狙ったスキットルを倒していきました。
実際に自分でも投げてみるとモルックが平行に飛ばなかったり、狙ったところとは違うところに飛んでしまったりと、最初はやや難しいのですがそれでもスキットルが倒れるとやはり嬉しいもの!
シンプルなルールや動作でありながら、ゲームが進展すると戦略性や、複雑な陣形から狙ったスキットルだけを倒すという奥深い技術が必要になるという点が多くの人に人気なのかもしれません。
コツを聞くと「ひたすら投げるのみ」と答えてくださった神保さん。この日も、インタビューが終わった後も「もう少し練習していくので!」とお一人で練習を続けていました。
全国各地にチームがあり参加させてもうらこともできるようなので、興味のある方はぜひ参加してみてください!
高齢者の方も楽しめるスポーツとして「ボッチャ」を知っている方は多いと思いますが、「モルック」はこの記事で知ったという方も多いのではないでしょうか。
楽しいだけでなく程よい運動や計算による脳トレの要素があったりと介護施設でのレクリエーションとして、とてもおすすめです。ぜひ新しいレクリエーションとして取り入れてみてはいかがでしょうか。
取材協力一般社団法人日本モルック協会
介護アンテナ編集部Kaigo Antenna Editorial Department
プロフィール
株式会社ベネッセスタイルケア運営の介護アンテナ。編集部では、ベネッセの25年以上にわたる介護のノウハウをはじめ、日々介護の現場で活躍している介護福祉士や介護支援専門員(ケアマネジャー)、看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などの高齢者支援のスペシャリストたちの実践知や日々のお仕事に役立つ情報をお届けします!
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