公開日:2023/08/15

更新日:2024/04/18

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【介護の基本】体位の種類一覧とスムーズな体位変換のポイント

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この記事では介護職員やご家族向けに、体位の種類と各々の特徴をご紹介します。仰臥位、側臥位(横臥位)、伏臥位(腹臥位)、端座位、ファーラー位、セミファーラー位について理解を深め、床ずれ予防の知識や高齢者にとって心地いい体位は何かを学びましょう。研修資料として使える印刷用データも無料でダウンロード可能♪

【介護の基本】体位の種類一覧とスムーズな体位変換のポイント

体位の種類を知っておく重要性

体位変換は、呼吸や筋緊張、胸郭の動きや臓器の活動などに影響を与える大切な役割をもっています。そのため、自分で体位を変えることが困難な高齢者には、日常的に体位交換のサポートが必要です。

とはいえ、新人の介護職員や自宅介護を行うご家族などは難しく感じる場面も多いでしょう。この記事では、介護をはじめて間もない方に向けて、体位の種類や特徴などをご紹介します。

体位の種類:臥位(がい)

 臥位とは、寝た状態のことです。ここでは4つの臥位をピックアップし、それぞれの体位の長所や短所などをご紹介します。

仰臥位(ぎょうがい)

仰臥位(ぎょうがい)

仰臥位は、仰向けに寝ている状態のことを指します。 支持基底面が広いため、安定感がありリラックスできる体位といえます。

一方で舌根沈下になりやすい傾向があります。呼吸が浅くなりがちなので、咳がしにくいと感じる高齢者も少なくありません。膝の下に大きめのクッションを入れて脚全体を支え、かかとを少し浮かすと床ずれ(褥瘡)防止に効果的です。

側臥位(そくがい)・横臥位(おうがい)

側臥位(そくがい)・横臥位(おうがい)

側臥位または横臥位は、横向きに寝ている体位です。 仰向けの仰臥位に比べて支持基底面が狭いため、動きやすく姿勢を変えやすいという特徴があります。咳も比較的しやすいと感じることが多いでしょう。

ただし、姿勢を変えやすいということは、安定感がなく姿勢が崩れやすいという一面も。仰臥位、側臥位について詳しく知りたい方は、下記の記事も参考にしてみてください。

介護まるわかり 【体位変換】仰臥位・側臥位のポジショニング介護の基本を解説

半側臥位(はんそくがい)

半側臥位(はんそくがい) 半側臥位(はんそくがい)

半側臥位とは、仰臥位から左右どちらかに45度前後傾斜させた体位のことです。

半側臥位にするときは、背中や足の下、両足の間などにクッションを挟んで体勢を維持するのがポイントです。上記のイラストでは、左足の下のクッションと両足の間のクッションで、足の重さを受け止め、身体のねじれが起きないようにしています。

側臥位と半側臥位の違い

側臥位と半側臥位の違い

背中と床の角度が90度になっている体位を側臥位、30度になっている体位を30°側臥位、45度になっている体位を45°側臥位といいます。褥瘡ができやすい場合は、30度程度の傾斜が好ましいとされています。

伏臥位・腹臥位(ふくがい)

伏臥位・腹臥位(ふくがい)

伏臥位(腹臥位)は、うつ伏せの体位のことを言いますが、高齢者にとってリスクの大きい体位です。この体位を検討する際は、医師や理学療法士などの専門家に相談のうえ、安全な体位変換の方法やクッションを使用する場合の位置やはさみ方などについて意見をもらいましょう。

準備や検討が不十分なまま伏臥位を行うことで生じるリスク

  1. 窒息や息苦しさ:ポジショニングした際に呼吸の評価が不十分だと、窒息やチアノーゼなど命に関わる重大事故の危険があります。
  2. 体位変換時の骨折や内出血などのリスク:伏臥位への体位変換を行う際、介助を受ける方の手を巻き込んだり、介助者が無理やり下側の手や足を引っ張ることで骨折や内出血などの事故のリスクが高くなります。
  3. 首や肩、腰などの関節への影響:高齢の方の場合、関節の可動範囲(関節可動域)の問題でイラストのような体勢をとれる方ばかりではありません。そのため、評価や検討が不十分なまま腹臥位の体位をとると、首や肩、腰などの痛みにつながります。

上記の危険性を十分理解のうえ、安全な体位変換や姿勢保持が可能になれば、腹臥位は安定性が高い体位です。

舌根沈下も起きず、長時間ベッドで横になっている高齢者の方にとっては呼吸への良い影響も期待できます。ただし、逆に呼吸が苦しくなる方もいるので注意が必要です。また、咳が多い時には適さない体位です。

初めて伏臥位を試みる場合は5~10分程度の短時間から開始し、その場を離れずご状態の観察を行うようにしましょう。安全性を確認しながら、徐々に時間を延ばすようにしてください。

体位の種類:座位(ざい)

座位とは、座っている状態のことを言います。ここでは6つの座位をピックアップし、それぞれの特徴をご紹介します。

端座位(たんざい)

端座位(たんざい)

端座位とは、ベッドの端などに腰かけ、両足を下して背もたれがなくても座っている姿勢のことです。ベッドから移乗する際は、端座位をとってもらうと移乗しやすくなります。 座位は臥位よりも楽に身体を動かせ、呼吸もしやすくなる点が特徴です。脳の活性化にもつながると言われています。

支持基底面が狭く、不安定になりやすいため注意が必要です。

介護まるわかり 【介護技術】ベッド上で端座位から仰臥位になる介助の手順・コツを分かりやすく解説!

ファーラー位・半座位(はんざい)

ファーラー位・半座位(はんざい)

ファーラー位とは、寝た状態から上半身を45度程度上げた体位のことで、半座位ともいいます。イラストのように、足を軽く曲げると姿勢を維持しやすくなります。 ファーラー位には、腹部臓器による肺の圧迫を軽減できたり、呼吸がしやすいという特徴があります。

この姿勢で食事介助をする際は、枕を追加してあごが上がらないようにするなど工夫が必要です。

セミファーラー位

セミファーラー位

セミファーラー位は、寝た状態から上半身を15~30度程度上げた体位で、背部の筋緊張を下げる姿勢です。

背部の筋緊張が原因の腰痛持ちの方におすすめの体位ですが、逆にこの姿勢がつらい方もいらっしゃいますので注意が必要です。

椅座位(いざい)

椅座位(いざい)

椅座位とは、椅子に腰をかけている状態のことです。背中が背もたれにつき、足が床についているため安定感があります。 椅座位は主に、食事やレクリエーションをする際に適しています。

長座位(ちょうざい)

長座位(ちょうざい)

長座位とは、足を伸ばして座っている状態をさします。 足を下ろさない姿勢のため、座位のなかでも心臓や肺などへの負担が少ない体位とされています。

基本的に高齢者は大腿二頭筋が短縮している場合が多いので、この姿勢を保持するのは困難です。

起座位(きざい)

起座位(きざい)

起座位とは、クッションや枕などを抱えて座っている体位のことです。テーブルに枕を乗せて、もたれかかるようにして座ることもあります。

起座位は、胸が苦しいときや呼吸が困難なときに行うと症状の軽減につながりますので、呼吸苦のある人に適した姿勢です。

体位の種類:立位(りつい)

立位(りつい)

立位とは、立っている状態のことをいいます。 臥位や座位に比べ支持基底面が狭くなるため、筋力やバランス能力が衰えると立位を保ちづらくなり、転倒のリスクが高まります。 安定した立位を維持するためには、背中や膝を伸ばすのがポイントです。

体位変換を行う際のポイント

体位交換を安全にスムーズに行うためには、いくつかコツがあります。ここでは主なものを見ていきましょう。

体位変換をスムーズに行うコツ

  • 恐怖感を抱かせないために、必ず声をかけ、同意を得えてから行う
  • 身体に触れるときは、手のひら全体で、両手・両腕で抱えるようにやさしく触れる
  • 高齢者の身体能力や体調をよく確認し、できない部分だけ介助する

などが挙げられます。 介護技術の基本についてさらに詳しく知りたい方は、下記の記事も併せてをチェックしてみてください。研修資料などにも役立ちます。

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監修者

下地 大輔Daisuke Shimoji 

プロフィール
理学療法士/株式会社ベネッセスタイルケア 専門性開発部
筑波大学院人間総合科学研究科生涯発達専攻リハビリテーションコース(現人間総合科学研究群リハビリテーション学)前期博士課程修了。急性期病院での勤務を経てベネッセスタイルケアの有料老人ホームにて機能訓練指導員として従事。2023年1月より現職。理学療法士としての知見から、介護職の専門性向上を目指したコンテンツの開発と研修運営に取り組んでいる。

株式会社ベネッセスタイルケア 公式ホームページ

著者プロフィール

介護アンテナ編集部Kaigo Antenna Editorial Department

プロフィール
株式会社ベネッセスタイルケア運営の介護アンテナ。編集部では、ベネッセの25年以上にわたる介護のノウハウをはじめ、日々介護の現場で活躍している介護福祉士や介護支援専門員(ケアマネジャー)、看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などの高齢者支援のスペシャリストたちの実践知や日々のお仕事に役立つ情報をお届けします!

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