この記事では高齢者の心不全で、介護者が知っておきたい原因や治療方法、生活上の注意点などについて医療法人社団 悠翔会 理事長・診療部長で医師の佐々木淳先生が動画でわかりやすく解説します。(2022年12月の情報です)
心不全とは
心不全というと非常に怖い病気というイメージを持っていらっしゃる方が多いと思いますが、実は高齢者にとってはありふれた病態のひとつです。
特に要介護状態になると、多くの高齢者は心不全とともに生きています。要介護状態の高齢者のうち心機能に問題がなく良好な方は2割程度しかいらっしゃいません。残り約8割の方は何かしらの心機能の低下とともに生きています。
心臓の役割

心臓というのは筋肉でできたポンプです。生まれてから死ぬまでずっと動き続けて全身に血液を送り続けます。
心臓は、血液を送ることで全身に酸素や栄養素を運び、全身から二酸化炭素や老廃物を集めてくるという非常に大きな働きをしていますが、この筋肉でできたポンプはさまざな病気によって機能が低下していきます。
心不全に至る病気・病態
心不全に至る原因はさまざまですが、高齢者に多い代表的な病気・病態は下記の3つです。
- 心筋梗塞
- 最も一般的。心筋の一部が大きく機能低下し、心臓の機能が階段状に低下してしまう。
- 高血圧性心不全
- 長い間、高い血圧により心臓に負荷がかかることで徐々に心筋の収縮力が落ちていく。
- 心臓弁膜症
- 心臓には血液の逆流を防止するための弁がありますが、それが加齢に伴って動脈硬化を起こしたり、あるいは心不全や心筋梗塞の影響などで、弁の形が変化したことにより逆流が起こりやすくなり、心不全が悪化する。
原因はさまざまありますので、一概に心不全といっても色々なものがあるのだということは知っておくとよいでしょう。
心不全の治療法(薬物療法・食事療法)
心不全は、心臓の機能低下とともに残された時間をできるだけよい状態で過ごしていただくために、なるべく悪化させないことが大切です。
その方の望む日常生活のレベルを維持するため、心臓が機能を発揮できるようサポートするのが、心不全に対する薬物療法と食事療法になります。
心不全の治療の基本

- 心臓に過度な負担は与えないこと
- 体液の量を適切にコントロールすること
- 状態に応じたケアをすること
薬物療法

- 血圧のコントロール
- 心臓の動きを抑える
- 利尿剤などによる体液量のコントロール
食事療法
生活においては食事のなかからたくさん塩分を摂ると体液量が増え、心不全の原因になってしまうため塩分の量はある程度コントロールすることが重要です。また、心機能の程度によっては水分量のコントロールの制限が必要という方も出てきます。
食事療法は栄養不足には要注意

食事療法の際に気を付けたいことは、あまり過度な食事制限をしますと栄養状態が悪化してしまうという点です。実は心不全というのはエネルギーを消耗する病気でもあるので、栄養不足が心不全を悪化させるということも分かってます。
そのため塩分と水分を適宜制限しながらエネルギーを摂っていただくように栄養管理をしっかりと行っていくということが重要になります。
心不全悪化の兆候

高齢者の多くはもともとそんなに過度な運動はしないので、運動制限についてはあまり心配する必要はないかもしれません。逆に高齢の方が急に元気がなくなってきたり、動けなくなってきたときにはもしかしたら心不全の悪化のシグナルのひとつかもしれません。
心不全が悪化するときというのは心臓のポンプ機能がうまく働かなくなってるときなので、体のなかの水分の循環がうまくいかないことによって例えばむくみが出たり、あるいは肺に水が溜まり、体内の酸素量が低下したり、胸水が溜まったり、それによって体重が増加したりといったような兆候が出てきます。
心不全悪化の兆候の具体例
- 元気がない
- 食欲がない
- むくみ
- 呼吸が苦しそう(体内の酸素量の低下)
- 体重増加
心不全の兆候が見られたときは
高齢の方が元気がない、食欲がない、体重が増えてきて、酸素が下がって、むくみが出てきているというのは心不全の症状の可能性があります。そういった場合にはできるだけ早く医療機関に連絡を取って心不全として治療したほうが改善する可能性が高いと思います。
心不全は適切な健康管理で穏やかな生活を送ることが可能

心不全というと怖い病気と思われますが、実は日々の生活をできるだけ健やかに生活していただくというのが、心不全の方が安全に過ごしていくための一番重要なポイントとなります。
日常の健康管理、日ごろからの体調の変化の観察をきちんとすることで、心不全になったとしてもそうでない方と同じように穏やかな生活を送ることが十分可能です。
医療機関と看護と介護がしっかり連携をしながら、そして適宜薬の調整をしながら多職種で支援を継続していただければと思います。
佐々木先生の書籍もおすすめ!
さらに詳しく知りたい方は佐々木先生の書籍もおすすめです。ぜひご覧ください。
解説していただいた医師
佐々木 淳Jun Sasaki

著者プロフィール
介護アンテナ編集部Kaigo Antenna Editorial Department














