公開日:2021/06/18

更新日:2022/03/04

介護レク

高齢者向けレクリエーションの意味とは?効果をあげる2つのポイント

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全国に300施設以上の有料老人ホームを運営しているベネッセスタイルケアの社内シンクタンク(研究機関)である「ベネッセ シニア・介護研究所」の研究員が、介護に関する調査・研究のトレンドや最新情報など、介護現場で活躍されている方に向けて、役立つ情報を発信する連載コラム。第2回目の本記事では、高齢者が実施するレクリエーションの意味と、効果をあげるポイント2つをご紹介します。

高齢者向けレクリエーションの意味とは?効果をあげる2つのポイント

レクリエーションは介護サービスのご利用者にとって大きな楽しみであることは言うまでもありません。一方、ご利用者に楽しんでいただくためにはどんなレクリエーションをすればよいか、日々頭を悩ませている職員の方もいらっしゃるでしょう。コロナ禍ではレクリエーションなど無理!という状況があるかもしれません。

レクリエーションの意味・重要性は、さまざまな論文で裏付けられてきています。今回はレクリエーションの効果について見ていくとともに、コロナ禍におけるレクリエーションの提供についても考えてみたいと思います。

高齢者向けレクリエーションの意味とは

レクリエーションは「仕事・勉学などの肉体的・精神的疲労をいやし、元気を回復するために休養を取ったり娯楽を行ったりすること。また、その休養や娯楽。」(デジタル大辞泉より)などと定義されていますが、高齢者の場合は、心身機能の低下防止や生活の改善を目指すケースが多いです。(※1)

実際に行われる内容としては、体操や運動、音楽、手先を使った制作活動、料理、脳トレ、ゲームなど多岐にわたりますが、それらの多くは何らかの良い影響を与える可能性があることが論文などで示されています。最近ではe-スポーツを実施するところも増えてきており、その効果検証が待たれます。

レクリエーションの効果をあげる2つのポイント

高齢者向けレクリエーションの意味とは?効果をあげる2つのポイント

次に高齢者が参加するレクリエーションで効果をあげるポイントを2つご紹介いたします。

1.複数の選択肢から「選べる」レクリエーション

1点目のポイントは、複数のレクリエーションの選択肢をつくり、ご本人に選んでいただくということです。

レクリエーションを実施するうえで大切なのは、ご本人がやりたいレクリエーションをできるかどうかでしょう。関心や好みは人それぞれですので、できるだけやりたいものを選べることが大切です。毎日複数の選択肢を設けるのが難しい場合は、日替わりメニューにするのも一案でしょう。

「選べる」ことは満足感に繋がりますし、認知症のある高齢者の生活に良い影響を与えるという研究結果(※2)も出ています。

2.「他者と一緒にやる」レクリエーション

2点目のポイントは。他者と一緒にやるということです。

個々の好みに合わせるなら、個人で活動すればよいのでは?と考える方もいらっしゃるかもしれませんが、他者と一緒に活動することに意義があります。他者がいることで、コミュニケーションや支え合い、競争などが生まれ、より生きがいや張り合いを感じることができるでしょう。

レクリエーションへの参加は一種の社会参加であり、社会的孤立を予防することで高齢者に良い影響を与える側面があります。(※3)定期的な集団レクリエーションの実施が認知症の周辺症状を軽減できる可能性を示した研究結果(※4)もあります。

高齢者向けレクリエーションの意味とは?効果をあげる2つのポイント

身体運動を伴うレクリエーションや趣味の数が多い人ほど、認知症発症や認知機能の低下のリスクが下がるというデータ(※5)がありますが、選択肢が多ければ興味・関心の幅を広げ、そのような効果を見込むこともできるかもしれません。

コロナ禍でもICTを活用することで複数の施設をつないでのレクリエーションを実現

高齢者向けレクリエーションの意味とは?効果をあげる2つのポイント

レクリエーションは、各施設内で実施するのはもちろん、複数の施設の方々が一緒に何かをするというのも、生きがい・やりがいを高めるのには効果的です。しかし、今のコロナ禍では、施設の間を行き来するのは難しいのが現状でしょう。

ご家族ともなかなか会えなくなってしまったご入居者のために、ICTを活用したオンライン面会を実施する高齢者施設は増えつつあります。それにより、今までなかなか会えなかった遠方の家族・親戚とも会えたという話も耳にします。

このような技術は、レクリエーションでも有効活用できます。講師の方を招いてのレクリエーションは、プロジェクタなどをうまく活用することで実施できますし、複数の施設をつないでのイベントも工夫次第で実施可能です。オンラインの音楽祭やボッチャ大会などを実施したケースでは、ご入居者同士がお互い張り合い、大いに盛り上がったとのことです。

介護サービスを利用される方々の生活にさまざまな形で良い影響を与えるレクリエーションの機会は、コロナ禍でもできるだけ確保したいものです。

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引用文献
※1 古市孝義, 金美辰. (2020). 介護老人福祉施設におけるレクリエーションの現状と課題. 人間生活文化研究, 30, 194-201.

※2 渡辺陽子. (2020). 介護老人保健施設の看護・介護スタッフによる日常生活における自己決定支援の積み重ねが認知症高齢者に及ぼす効果. 老年看護学, 24(2), 65-75.
※3 中西三春. (2021). エビデンスに基づいた認知症予防, ケア, 社会的包摂 (特集 認知症施策推進大綱と共生と予防). 日本認知症ケア学会誌, 19(4), 634-643.
※4 坂本将德, 佐藤三矢, 駒崎卓代, 津田隆史. (2017). 集団レクリエーション介入が認知症高齢者における行動・心理症状 (BPSD) および QOL に及ぼす効果. 理学療法科学, 32(4), 487-491.
※5 Ling LING, 辻大士, 長嶺由衣子, 宮國康弘, 近藤克則. (2020). 高齢者の趣味の種類および数と認知症発症:
JAGES 6 年縦断研究. 日本公衆衛生雑誌, 67(11), 800-810.

著者プロフィール

介護アンテナ編集部Kaigo Antenna Editorial Department

プロフィール
株式会社ベネッセスタイルケア運営の介護アンテナ。編集部では、ベネッセの25年以上にわたる介護のノウハウをはじめ、日々介護の現場で活躍している介護福祉士や介護支援専門員(ケアマネジャー)、看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などの高齢者支援のスペシャリストたちの実践知や日々のお仕事に役立つ情報をお届けします!

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