多くの介護施設で実施されているレクリエーション。脳トレや体操など種類もさまざまですが、「ご利用者が取り組んでくれない」「レクが盛り上がらない」「レクを考えるのが大変」といった悩みを抱えている介護職の方も多いのではないでしょうか。本記事ではレクリエーションの時間が楽しく盛り上がるコツを紹介します。
現在有料老人ホームやデイサービス、グループホームなどの多くの介護施設では定期的にレクリエーションが実施されています。座ってひとりで行う脳トレ、計算問題、塗り絵や工作、さらに複数人で実施する体操やボッチャカラオケなどさまざまな種類があります。外出レクリエーションとしてお出かけすることなどもあるかもしれません。
介護職の方でどのようなレクリエーションを実施し、ご利用者に楽しく過ごしていただくか頭を悩ませている方も多いのはないでしょうか。高齢になると集中力が続かず、あまり積極的に参加していただけない、参加していただいてもあまり楽しんでいるようには見えない、のような課題もあるかもしれません。
レクリエーションの実施にはコツがあります。以下では基本的な3つのコツをご紹介しますが、そのコツをうまく理解、実践できればレクリエーションが苦手な方でも自信をもって企画・実施することができます。ぜひ参考にしてみてくださいね。
個人で行うレクリエーションでも、複数人で行うものでも、いずれにしても疎外感を感じないように積極的にレクリエーションの最中はコミュニケーションをとるように心がけましょう。
例えば脳トレを使ったレクリエーションであれば、ご利用者が悩んでいる様子を見計らってヒントを出してみたり、作文や昭和クイズの際は当時の思い出や出来事を質問してみるのもよいでしょう。ご利用者の話す思い出話に興味を持って楽しそうに聞いてみてください!
複数人で行うレクリエーションで、すべての人とコミュニケーションをとるのが難しい!ということであれば、同僚の方に手伝ってもらったり、当日の人員配置について上司に相談するなど、レクリエーションの最中にご利用者を置き去りにしないよう計画しましょう。
コミュニケーションをとることは、その方のことを知るきっかけになることもありますし、それがその後のより良いケアに繋がる可能性も高いでしょう。ぜひ積極的に話しかけたり、レクについてのアドバイスを投げかけてみましょう。
レクリエーションを行う中で、ルールを聞かれたときにしっかりと答えられなかったり、進行がたどたどしかったりするといまひとつ盛り上がりに欠けてしまうかもしれません。
また、例えばボッチャなどのレクリエーションを行う際に道具を代用するのはよいですが、その代用した道具で同じルールのゲームができるかあらかじめ確かめるなどの確認を怠らないようにしましょう。また、一般的なスポーツのルールは高齢者向けになっていないことも多いので、新しいことにチャレンジする場合は実施する方の身体能力などについても十分検討が必要です。
ちなみにボッチャの道具は日本ボッチャ協会や各市区町村で無料で貸出しもしていますので、道具がない場合は利用してみてください。(市区町村の場合は場所による)
なかなかレクリエーションに参加してくれないご利用者がいらしたり、司会進行が苦手でレクリエーションに苦手意識を持っている方もいらっしゃると思います。
ただ、レクリエーションは楽しむものです。相手を楽しませようとだけ思うのではなくご自身も一緒に楽しんでください!そのために一緒にレクリエーションに参加したり問題を解いてみるというのもよいでしょう。
あまりレクリエーションに興味がなかったご利用者もあなたが楽しそうに実施することで、興味を持ってくれることもあります。少なくとも小さな声で自信なさそうに実施しているよりは、よほど参加意欲が刺激されるはずです。
ご利用者と一緒に喜び、楽しむことが次回以降のレクリエーションの参加人数にもつながります。ぜひ笑顔や声の大きさなども意識して楽しんで行いましょう。
ここではおすすめのレクリエーションをご紹介します。介護アンテナ内で人気のコンテンツをご紹介していますので、盛り上がること間違いなし!おすすめポイントや続けるコツなどもご紹介しますので参考にしてみてください。
レクリエーションの企画を任されたけれど、準備の時間がない!という方には脳トレを使ってレクリエーションがおすすめです。書籍などが多数発売されていますし、介護アンテナでも多数のレクリエーション素材の配布を行っています。
イギリスの大学が行った調査では毎日脳トレを行っている人は脳年齢が実年齢より8歳~10歳程度若いという結果が出ていたりと、脳機能を若返られるために介護レクで脳トレを採り入れている介護施設は増えています。
介護アンテナの素材を使えば、脳トレ素材をダウンロードし、印刷するだけで準備完了!屋内で座って行うものですので、リスクが高まることもありませんし、手軽に行えるレクリエーションです。
介護アンテナでは脳科学の権威である枝川義邦氏が監修のもと問題を作成しており、会員登録(無料)をすると問題数4,000以上ある脳トレ問題を無料でダウンロードできますので、ぜひチェックしてみてください!
良いことずくめの脳トレですが、介護レクで実施する脳トレは取り組む人が「楽しい」「面白い」と思わなければすぐに手を止めてしまったり、次回取り組んでくれないということもあったりします。そこで脳トレを楽しく続けてもらう3つのコツを紹介します。
脳トレは地道にコツコツ続けることでエビデンスにもあるよう脳機能の回復が期待できますので、楽しく続けてもらうコツを実践しながらご利用者にご提供してみてください。
上記にあるよう脳トレで最も重要なのは長く続けることです。そのためにも楽しみながら取り組むということが大切になります。苦手と感じる問題ばかりだと苦手意識や問題が解けないということがストレスになり、続かなくなってしまいます。
苦手なトレーニングをしてもらうことは脳トレで重要なことですが、続かなくなってしまっては意味がありません。そのためご本人が得意とするものや、やりたいという問題を尊重して取り組んでみてください。
一言に脳トレと言って注意力を鍛える「迷路」や「間違い探し」の問題や、記憶力を鍛える「昭和クイズ」などさまざまな種類の問題があります。同じ問題ばかりだと飽きてしまいますし、集中力も長く続きません。
気分転換も兼ねて適度に問題の種類を変えるということも脳トレを長く続けるコツのひとつです。
飽きないために数種類の問題を行うということと似ていますが、同じレベルの問題ばかり解くというのもまた飽きにつながります。
特に同じ問題であれば問題を解けば解くほど鍛えられますので、ずっと同じレベルでは物足りなくなってくることもあるでしょう。
そういった際は問題のレベルを少しずつ上げることで飽きることがないよう問題を出してみてください。介護アンテナでは「初級・中級・上級」と難易度別からも探せるので活用してみてください。
介護レク介護アンテナの介護レク素材を見る
脳トレで頭を動かすだけでなく体を動かすレクリエーションも行っていきたいものですよね。体を動かすレクリエーションは複数人でワイワイしながら行うことが多いので自然と盛り上がります!
介護アンテナでは理学療法士が監修したオリジナルの体操動画をご紹介しています。
認知症予防としてよく脳トレをレクリエーションとして探されている方が多いですが、実は頭だけでなく手や指を使うことも脳を活性化させるので認知症予防に効果的と言われています。
介護アンテナで紹介している認知症予防体操は上肢のみを動かすので、座ったままでも行うことができます。
左右異なる動きがあったりと最初は難しいと感じますが、介護職の方も一緒に参加してみてください!できなくても「難しいですよね~(笑)」などコミュニケーションを取りながら行うことで和やかなムードで進行することができます。
リンク簡単!座位でできる高齢者向け認知症予防体操(手・指を動かす脳トレ)
介護職であればご利用者の食事の際、誤嚥にも細心の注意は払わないといけないですよね。よく口を動かすことで口周りの筋肉を鍛え誤嚥予防につながります。
介護アンテナで紹介している誤嚥予防体操では肩や首回りを鍛えるトレーニングもあります。これは食べ物を飲み込むのに重要な唾液分泌を促すためです。お食事の前に行うのが効果的で、可能であれば毎日実施してみましょう。後半は歌をパートもありますので楽しみながら取り組むことができます。
転倒を防ぐには足の筋力だけでなく体幹や体重移動など総合的に鍛えることが重要です。スクワットで足腰の筋肉を鍛え、片足ずつ床をタップしたり、左右の足の重心を移動することで安定した歩行ができることを目標に作られた転倒予防体操となっています。また、5分でできる内容となっているので短い空き時間などでも取り組めます。
立位での体操となるため、行う際は近くに介護職を配置するなど安全にも配慮し行ってみてください。
最近では多くの介護施設でレクリエーションと行われている「ボッチャ」。元々、脳性麻痺や四肢に障がいがある人のために生まれたスポーツで、シンプルなルールや適度な運動力で高齢者も楽しめるということで介護施設のレクリエーションとして広まっていきました。
ボッチャのルールはもちろんのこと、なぜ高齢者におすすめのスポーツなのかという諸理由や、介護施設で楽しむ際のアレンジルールも紹介しておりますのでぜひ参考にしてみてください!
リンク介護レクで人気!ボッチャのルール、用具、高齢者向けアレンジを徹底解説
介護施設のレクリエーションとしてじわじわと人気がでてきているのがフィンランド生まれのスポーツ「モルック」です。「モルック」と言われる木の棒を投げ、地面に立てた「スキットル」という複数の木のピンを倒して点数を競うというスポーツです。
モルックには「投げる」・「歩く」・「しゃがむ」など適度な運動の要素と、スキットルに書かれた数字の合計値を50点にするという計算の要素が脳トレにもなるということで、介護施設で今人気の要因となっています。必要な道具やルールを分かりやすく解説しておりますのでぜひチェックしてみてください!
リンク高齢者向けレクに最適!脳トレにもなるスポーツ「モルック」とは?
多い施設であれば毎日レクリエーションを行っているところもあるため、マンネリ化やネタが尽きてしまったという悩みからレクリエーションに苦手意識を持っている方もいらっしゃるかもしれません。
そんな悩みの解消の手助けになればと思い、どうすればご利用者が楽しく続けられるのかというコツと、レクリエーションを盛り上げるコツを紹介させていただきました。介護アンテナではさまざまな種類のレクリエーション素材を無料で使うことができますのでマンネリ化やネタの枯渇も解消できるはず!
記憶力を鍛えたり、計算力を鍛えたりと目的別でおすすめの脳トレ・クイズを紹介しているページもありますので、そちらもぜひチェックしてみてください!
介護アンテナ編集部Kaigo Antenna Editorial Department
プロフィール
株式会社ベネッセスタイルケア運営の介護アンテナ。編集部では、ベネッセの25年以上にわたる介護のノウハウをはじめ、日々介護の現場で活躍している介護福祉士や介護支援専門員(ケアマネジャー)、看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などの高齢者支援のスペシャリストたちの実践知や日々のお仕事に役立つ情報をお届けします!
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