医療や介護を必要とする高齢者が、住み慣れた地域で自立した暮らしを継続することができるよう包括的にサポートする施設として、各自治体に設置されている地域包括支援センター。その役割と支援の内容を解説します。※記事の内容は2021年3月時点の情報をもとに作成しています。
厚生労働省が推進する地域包括ケアシステムは、医療や介護を必要とする高齢者が、住み慣れた地域で自立した暮らしを継続することができるよう、包括的に支援していくことを目的としています。
その実現に向けた中核的な機関として、各自治体に設置されているのが地域包括支援センターです。ここでは、地域包括支援センターの役割と、そこで行われる支援の内容について解説します。
介護保険法では、地域包括支援センターを次のように定義しています。
<地域包括支援センターの業務>
市町村が設置主体となり、保健師・社会福祉士・主任介護支援専門員(主任ケアマネジャー)などを配置して、3職種のチームアプローチにより、住民の健康の保持及び生活の安定のために必要な援助を行うことにより、その保健医療の向上及び福祉の増進を包括的に支援することを目的とする施設である。(介護保険法第115条の46第1項)
このため、地域包括支援センター1ヶ所で、介護、医療、福祉、健康といったあらゆる相談ができ、必要な情報を提供してもらえるのが、利用者にとって最大のメリットです。
地域包括支援センターを利用できるのは、各センターの対象地域の住人です。離れて暮らしている親の支援について相談したい場合は、支援者(子)が暮らす地域のセンターではなく、対象者(親)が住む地域のセンターに問い合わせる必要があります。
地域包括支援センターは、概ね人口20,000~30,000人に1ヶ所を目安として設置が推進されており、2018年4月時点で、すべての市町村に1ヶ所以上設置されています。需要の高まりを受けて、その数は年々増加傾向にあります。
地域包括支援センターで行われる介護予防支援および包括的支援事業は、大きく分けて次の4つを軸にしています。多職種によるチームアプローチと、制度を横断的に利用した支援の展開に特徴があります。
現時点ではまだ介護を必要としない、要支援段階の高齢者に対して、将来的な介護リスクを減らすためのケアプランの作成を行います。
住民からのさまざまな相談を幅広く受け付け、行政、保健所、医療機関など、必要なサービスを横断的に駆使した支援策を提案します。
高齢者が尊厳を守り、安心して生活できるよう、個人の権利を守ります。具体的には、成年後見制度の活用や虐待の防止、早期発見などを行います。
高齢者が安心して暮らし続ける地域を作るには、地域の医療機関や在宅介護サービス事業者、ボランティア、民生委員など、あらゆる職種と事業者による総合的な支援が不可欠です。
包括的・継続的ケアマネジメント支援業務では、ケアマネジャーへの個別指導、支援困難事例への指導・アドバイスなどを通じて、相互の連携を推進します。
「地域で利用できる介護サービスについて知りたい」「遠方に住んでいる親の生活に不安がある」「特殊詐欺に引っかかったようだ」など、高齢者の生活に関するあらゆる相談を受け、解決策を提案してくれる地域包括支援センター。
紹介を受けたサービスを利用した場合、費用が発生することはありますが、相談は無料です。高齢者がいつまでも自分らしく暮らしていくために、不安や悩みがあれば相談できる拠り所となっています。
介護アンテナ編集部Kaigo Antenna Editorial Department
プロフィール
株式会社ベネッセスタイルケア運営の介護アンテナ。編集部では、ベネッセの25年以上にわたる介護のノウハウをはじめ、日々介護の現場で活躍している介護福祉士や介護支援専門員(ケアマネジャー)、看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などの高齢者支援のスペシャリストたちの実践知や日々のお仕事に役立つ情報をお届けします!
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