公開日:2019/09/03

更新日:2022/01/26

高齢者のための介護施設の種類と利用者に合った施設の選び方

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高齢者が快適な生活を送るための介護施設には、さまざまな種類があります。入居条件やサービス内容、費用もそれぞれ異なるため、利用者に適した施設を選ぶのに迷われる方も多いようです。介護施設の種類と特徴、選び方をまとめました。※記事の内容は2021年3月時点の情報をもとに作成しています。

高齢者のための介護施設の種類と利用者に合った施設の選び方

高齢者のための介護施設の種類と利用者に合った施設の選び方

高齢者が介護などのサービスを受けることができ、快適な生活を送るための施設には、公共性の高い施設と民間の施設があり、公共性の高い施設は国や自治体、社会福祉法人などが運営し、民間の施設は、企業などが運営しています。

入居の条件や受けられるサービスの内容、費用もそれぞれ異なるため、要介護者に適した施設を選ぶのに苦労されている方も多いようです。
そこで、選択に迷うことも多い介護施設の種類と選び方についてご紹介します。

要介護状態の方を対象とする介護保険施設

介護保険施設には、次のものがあり、入居条件がそれぞれ異なります。

介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)

特別養護老人ホームでは、原則として要介護3以上の要介護者が入居対象となり、日常の生活サポートに加え身体的な介護サービスも受けられます。認知症の受け入れにも積極的で、看取りに対応しているところも多いため人気があり、地域によっては入居を希望しても長く待機しなければならない場合があります。尚、看護職員の24時間配置は義務付けられていません。

介護老人保健施設

利用者が在宅復帰を目指すために、医師による医学的管理の下で看護・介護・リハビリ・その他日常生活上の世話を受けられる施設です。

65歳以上で要介護度1以上の要介護者が入居対象となり、病状が安定していて、リハビリテーションの必要がある方になります。あくまでも在宅復帰を目的としているため、入居できる期間は原則3カ月になります。

介護療養型医療施設

介護療養型医療施設は、専門的な医療サービスが必要な高齢者を対象にした施設です。おもな運営主体は医療機関で、医師や看護師が常駐しているため、高度な医療ケアを受けることが可能です。

終身制ではなく、改善したら退居が原則ですが、長期入居が大半を占める現状が問題視され、2024年までに新たな受け皿となる介護保険施設、「介護医療院」への転換が進められています。入居条件は、要介護1以上となります。

自立した生活が可能な方を対象とする施設

要介護状態か否かにかかわらず、自立した生活ができるものの家族の援助などが受けられない高齢者を対象とする施設には、「軽費老人ホーム」があります。

軽費老人ホーム

入居条件が60歳以上となっている軽費老人ホームは、自分で概ね身の回りの世話ができるが、経済的な問題や身寄りがないなど、居宅での生活が困難の方が対象の施設です。運営は主に地方自治体や社会福祉法人になります。

軽費老人ホームは、食事サービスのある「A型」と自炊の「B型」、食事と生活支援サービスのある「ケアハウス」(C型)に分類され、さらにケアハウスには比較的低い費用で利用できる「自立型」と「介護型」があります。

要介護状態となっても生活可能な民間施設

要介護状態となっても生活可能な民間施設の例として、「介護付き有料老人ホーム」「住宅型有料老人ホーム」「グループホーム」が挙げられます。

介護付き有料老人ホーム

介護付き有料老人ホームには、要介護者のみが入居できる介護専用型と、自立・要支援の方も入居できる混合型があります。掃除や洗濯などの身の回りの世話や、食事や入浴、排せつなどの介護サービスが提供される施設です。

介護保険上では「特定施設入居者生活介護」に分類され、施設で提供される介護サービスに対して介護保険給付の対象となります。入居条件やサービス内容、利用料などは運営事業者によって異なります。

住宅型有料老人ホーム

住宅型有料老人ホームは、生活支援が主なサービスとなる施設です。介護が必要となった場合でも有料老人ホームでの生活を継続することができますが、介護サービスは施設のサービスに含まれていないため、介護が必要な場合は要介護認定の手続きを行い、ケアマネジャーの作成したケアプランに基づき、介護サービスを受けるかたちとなります。

グループホーム

グループホームは、NPO法人や民間企業が運営する、認知症の方のための地域密着型施設です。要支援2以上の認知症の方が対象で、グループホームと同地域に住民票を持つ方という条件があります。
認知症の方が生活しやすいよう、1つの住居に5~9人の利用者が、介護スタッフと共同生活を送ります。

その他の施設など

自立の方から軽度の要介護の方まで、自立した生活を営めるよう配慮された施設として「サービス付き高齢者向け住宅」「シニア向け分譲マンション」の2つがあります。

サービス付き高齢者向け住宅

サービス付き高齢者向け住宅は、自立状態から比較的要介護度の低い高齢者までが入居対象です。バリアフリーであることはもちろん、生活支援・生活相談、状況把握サービス、施設によってはフロントサービスが整備されていたり、オプションで食事の提供がある施設もあります。暮らしの自由度が高く高齢者が住みやすい環境が整っています。尚、契約は賃貸借契約になります。

※介護保険「特定施設入居者生活介護」事業所としての指定を受けている場合もあります。

シニア向け分譲マンション

シニア向け分譲マンションは、アクティブな高齢者が楽しく暮らせるよう、様々な設備や施設が整備されていることが特色で、家事援助サービスなども付随しています。介護サービスは施設のサービスに含まれていないため、介護が必要な場合には、要介護認定の手続きを行い、ケアマネジャーの作成したケアプランに基づき、介護サービスを受けるかたちとなります。尚、契約は所有権方式になります。

ご利用者も家族も後悔しない、納得の施設選びを

様々な種類がある高齢者向け施設。今の生活で何に困っていて、どのような支援が必要かによって選択は様々です。
高齢者にとって住まいを変えることは大きな転機であり、心理的にも負担がかかります。よくご家族で話し合い、入居前に実際の施設を見学して、納得できる施設をお選びください。
 

著者プロフィール

介護アンテナ編集部Kaigo Antenna Editorial Department

プロフィール
株式会社ベネッセスタイルケア運営の介護アンテナ。編集部では、ベネッセの25年以上にわたる介護のノウハウをはじめ、日々介護の現場で活躍している介護福祉士や介護支援専門員(ケアマネジャー)、看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などの高齢者支援のスペシャリストたちの実践知や日々のお仕事に役立つ情報をお届けします!

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