公開日:2023/04/10

更新日:2023/04/18

介護ベッドのレンタルはお得?利用の流れやメリット・デメリットを紹介!

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介護ベッドのレンタルにかかる費用感や利用の流れ、メリット・デメリットについて詳しく解説します。介護ベッドを利用する際の選択肢として、ぜひ参考にしてください。

介護ベッドのレンタルはお得?利用の流れやメリット・デメリットを紹介!

介護ベッドは、介護におけるさまざまな場面で役立てられる福祉用具。

日常の動きや介助を助ける機能を搭載している分、一般的な家庭用ベッドよりはやや高額で、20~30万円というのがおおよその相場です。 しかし、介護ベッドの利用には、購入のほか「レンタル」という選択肢もあります。

こちらの記事では、介護ベッドのレンタルについて、条件や費用感、利用の流れ、メリット・デメリットについて詳しく解説します。

介護保険の介護ベッドレンタル「福祉用具貸与」サービスとは

「福祉用具」という言葉をご存じでしょうか。

福祉用具とは、介護が必要な高齢者の日常生活を助けるため、または身体の機能訓練のための用具のことを指し、利用者(要介護者、要支援者)ができる限り自宅で自立した日常生活を送ることができるよう、福祉用具の利用を介護保険で支援するサービスのことを「福祉用具貸与」といいます。

福祉用具の中で手すりや車椅子など13種目を福祉用具貸与の対象としており、介護ベッド(特殊寝台)もその一つ。

レンタルの対象には、ベッド本体に加え、マットレスやサイドレール、手すり、床ずれ防止用のエアマットレスなどの付属品も含まれます。

介護ベッドのレンタル

レンタルできる福祉用具には、それぞれ要介護度の基準が設けられており、基準を満たす方ならレンタルが可能です。介護ベッドと付属品の場合は、要介護度2以上。ただし、基準を満たさない方でも「例外給付」としてレンタルが認められる場合があります。

例外給付とは、対象者に該当しない方でも、医師の意見に基づき福祉用具の利用が適切であると市区町村に認められるケースです。これにはさまざまなケースがあるので、まずはケアマネジャーに相談してみましょう。

介護ベッドをレンタルするのにかかる料金

介護ベッドや車椅子などの福祉用具・介護用品は、指定を受けた事業者からレンタルすることが可能です。介護保険を使う場合は、この基本的なレンタル料金がベースとなります。

介護ベッドをレンタルできるのは要介護度2以上。ここに該当する方ならレンタル料金の1~3割を自己負担することで借りることができます。

自己負担の割合は、介護を受ける方の所得に応じて変わります。例えば、自己負担1割に該当する方なら、ベッドの種類や福祉用具販売店による違いはありますが、介護保険を使ったレンタル料金は月額約600~3,000円(※)が目安となります。

参考厚生労働省 福祉用具全国平均貸与価格および貸与価格の上限一覧(令和3年4月~)

介護ベッドのレンタルや購入に介護保険は使える?

前述のように、レンタルに対する介護保険の適用には一定の条件があります。介護保険で要介護度2以上の認定がないと、介護ベッドを保険適用でレンタルすることはできません。

一方、購入の場合は、要支援や要介護の認定度合いに関わらず、介護保険は使えません。全額自己負担になります。

介護保険で介護ベッドをレンタルする場合の流れ

介護ベッドのレンタルに関わらず、介護保険の適用を受ける場合は、地域包括支援センターもしくは、ケアマネジャー(介護支援専門員)のいる居宅介護支援事業所に相談し、要介護認定を受ける必要があります。

認定結果が要介護2以上の場合のみ、介護保険を使った介護ベッドのレンタルが可能です。要介護2以上の方が介護ベッドレンタルの利用を開始する際の流れは以下のとおりです。

  1. 介護ベッドレンタル(福祉用具貸与)を盛り込んだケアプラン作成
    担当のケアマネジャーに希望を伝え、介護ベッドレンタルを盛り込んだケアプランを作成してもらいます。
  2. 申込み・契約
    福祉用具相談員の訪問を受け、アドバイスを受けながら福祉用具を選定・契約します。 (福祉用具相談員の提案のなかから、適した機能やサイズのものを選ぶ)
  3. 配送・レンタルの開始
    介護ベッドが納品され、サービスの利用を開始します。

要介護2以上の方が介護ベッドレンタルの利用を開始する際の流れ

利用するなかで、福祉用具専門相談員からの、定期的なメンテナンスやアフターサービスが受けられます。 状況に応じて介護ベッドの変更も可能です。

介護ベッドをレンタルする場合のメリット・デメリット

ここでは、介護ベッドをレンタルするメリット・デメリットを見ていきます。

レンタルのメリット

レンタルの主なメリットは、何といっても費用が安くなるという点や、ベッドの種類を途中で変更できるという柔軟性です。

費用が安い

介護保険を使ったレンタル料金の目安は月額約600~3,000円。仮に600円で計算すると、年間で7,200円。5年間使うと36,000円。購入に比べると、費用を抑えられます。

身体の状態により、レンタル品目を変更できる

レンタルであれば、状況に応じて借りるベッドを変更することが可能です。 例えば、背上げ機能と高さ調節機能が付いた2モーターの介護ベッドを借りていたとしても、足のむくみが気になってきた場合、膝上げ機能がついた3モーターにベッドの種類を変えることができます。

ケアマネジャーや福祉用具専門員のアフターフォローがある

前述の機種変更の例では、「足がむくむと歩行に支障をきたし、転倒して骨折しやすくなる」という知識を持ったケアマネジャーのアドバイスが反映されることになります。

足のむくみが少ないときに適切な機種に変更することで、むくみの軽減や転倒の予防にもつながります。レンタルなら、このようにアフターフォローを通じて専門家の知見を頼ることができるのです。

レンタルのデメリット

レンタルのデメリットとしては、レンタルであるが故の抵抗感や選択肢の狭さが挙げられます。

レンタル品に抵抗を感じる人もいる

「レンタル品=以前に他人が使ったもの」と考え、使用に抵抗を感じる方もいます。個人の好みにはなりますが、そこが気になる方にはレンタルは向かないでしょう。

メーカーや機種が限られる

何かの折りに介護ベッドを知り、いいなと思う機種があっても、レンタルを決めた福祉用品販売店に同じものがあるとは限りません。購入に比べると、使えるメーカーや機種の選択肢は限定的です。

取り扱いに気を遣う

自分の所有物ではないので、汚れや傷に気を付けて使用する必要があります。

介護ベッドを購入する場合のメリット・デメリット

一方、購入のメリット・デメリットには、次のような事柄があります。

購入のメリット

購入のメリットは、レンタルのデメリットの裏返しで、自分の所有物として扱えることや、選択の自由度が高いことが挙げられます。

自分の所有物になる

「他人が使ったもの」という抵抗感もなく、汚れや傷を気にすることなく使えます。また、レンタルの場合は定期的なメンテナンスのために福祉用具専門員が自宅を来訪しますが、購入ならそのようなことはありません。他人が定期的に訪問するのを煩わしく思う方にも向いています。

メーカーや機種を自由に選べる

一般的なベッドを購入するのと同じように選択肢が限られず、メーカーや機種を好きなように選べます。メーカーのショールームに行き、実物を見て購入することも可能です。

購入のデメリット

購入のデメリットも、レンタルのメリットの裏返しです。

身体の状態に合わせた変更ができない

身体の状態に合わせて介護ベッドの種類を変更したい場合は、買い換えなければなりません。レンタルのように柔軟な機種変更が難しい点がデメリットといえます。

処分に手間や費用がかかる

介護ベッドを使わなくなった場合、レンタルなら返却するだけで処分は終わりです。しかし、購入の場合は引き取り手を探す、廃棄するなど、何らかの処分を自分で行わなければなりません。大型の家具に当たるので、自治体の粗大ごみに出す場合は解体が求められることもあります。

レンタル・購入のどちらにすべきか考えるなら

費用を安く抑えられる点や、身体の状態に合わせて変更が利くという点では、レンタルに分があります。

一方、ベッドが自分の所有物になる点や、メーカーや機種を自由に選べるという点は購入の魅力です。費用や嗜好、考え方は人それぞれになるため、一概に「どちらが良い・どちらがお得」とは言えないでしょう。

いずれにしても介護ベッドは、衰えてきた身体の機能をサポートし、生活の質を上げる助けになってくれる福祉用具です。介護を受ける方が快適な時間を過ごし、生きることに前向きになれるよう、よりよい選択をしましょう。

レンタルにしても購入にしても、介護ベッドの導入は生活における大きな変化です。介護ベッドの機能や種類、選び方については、以下のページで詳しくご紹介しています。介護ベッドを正しく選ぶためにも、ぜひ参考にしてみてください。

関連記事正しい介護ベッドの選び方とは?機能・種類も紹介!

監修者プロフィール

穴迫 翔Sho Anasako

プロフィール
パラマウントベッド株式会社 理学療法士

公式サイト│パラマウントベッド

北海道大学医学部保健学科理学療法学専攻卒業後、都内の回復期リハビリテーション病院や総合病院に勤務。急性期から回復期、外来、通所、訪問と医療と介護の分野でのリハビリテーション業務に従事。パラマウントベッド株式会社では病院での勤務経験をいかして、営業のサポートやオンラインセミナー・勉強会の講師、製品開発などの業務に携わっている。

著者プロフィール

介護アンテナ編集部Kaigo Antenna Editorial Department

プロフィール
株式会社ベネッセスタイルケア運営の介護アンテナ。編集部では、ベネッセの25年以上にわたる介護のノウハウをはじめ、日々介護の現場で活躍している介護福祉士や介護支援専門員(ケアマネジャー)、看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などの高齢者支援のスペシャリストたちの実践知や日々のお仕事に役立つ情報をお届けします!

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