公開日:2021/02/25
更新日:2023/12/11
登録者:介護アンテナ編集部
織物の中でも年齢、障がい問わず誰でも簡単にできる『さをり織り』の体験教室に介護アンテナ編集部が参加してきました!体験教室の手織適塾SAORI東京について、バリアフリー対応状況なども含めてレポートしますので、ぜひお出かけのご参考になさってください♪
本記事は2020年10月時点での情報です。変更となる場合があります。
さをり織りとは、1968年に城みさを氏が大阪で始めた手織りで、年齢や障害を問わず誰でも自由に自分を表現することを目的としています。ひとりひとりが持つ個性や感性を織り込む、つまり「差異を織り込む」というのが語源になっています。
現在では、適塾がない地域でも作品展が開催され、理念に共感した方が個人的に運営している姉妹塾は全国各地、海外にも広がりを見せています。
体験コースは2時間で行われており、手織りをしたことのない方でも気軽に体験することができます。(有料)
公式サイトか電話で予約可能。車椅子利用の場合は事前に連絡する必要があります。
体験コースは火曜日から土曜日、第3日曜日に実施されており、朝・昼・夕の3回、1回の参加人数は最大5名(取材当時)で実施しています。
公式サイト手織適塾SAORI東京
千駄ヶ谷駅から徒歩5分、代々木駅からは徒歩10分と付近には複数の駅があるため便利です。新宿御苑の千駄ヶ谷門から徒歩3分なので、新宿御苑の散策を兼ねるのもおすすめです。
施設脇に2台まで車を停めることが可能ですが、車椅子利用の場合は2日前までに連絡が必要です。
車椅子用のお手洗いもあるので車椅子の方でも安心して体験できます。
施設脇にある駐車場側が車椅子用の通路となっており、車椅子用のスロープが付いているのでこちらから入りました。
中に入るとスタッフの方々が笑顔でお出迎えしてくださいました。体験教室はカラフルな糸が視界いっぱいに広がっていて体験前からワクワク 。
しかし筆者は裁縫が苦手なのでうまく出来るか不安なことを伝えると……
「見本のない自由な手織りなのでどなたでも作れますし、もちろんお裁縫が苦手な方でも大丈夫ですよ」と言われて安心。そもそも『さをり織り』では自分が好きなように織ることを目的としているとのことでした。
体験コースでは、一番大変なタテ糸を通す作業は体験前に準備されているので、体験者はヨコ糸を織るところから始めます。どなたでも簡単に手織りの体験ができる工夫がされているのが伝わりました。
体験のスタートはタテ糸がセットされた織機の中から好きな織機を選ぶところから始まります。
ちなみに足の不自由な方のための足を使わない織り機もあります。
今回は足踏み式の織り機を使って織りました 。
織り機を選んだあとはヨコ糸を選びます。
スタッフの方に「時間内であれば糸は何種類でも自由に使えるので最初に2,3種類だけでも選んでみましょう」とおっしゃっていただいたのですが、派手な色から落ち着いた色、綿、麻、ウール、シルクなど色も素材もさまざまで迷ってしまいました。
「どんな仕上がりかは織ってみないとわからないから直感で好きな糸を選んで織ってみて、また変えてみるのもいいですよ。気軽に選びましょう!」と背中を押していただいてやっと決めることができました。
糸を選んだあとは、スタッフの方の丁寧なアドバイスを受けながら始めていきます 。
選んだ糸の中から一番最初に使用したい糸をボビンに巻きつけていきます 。クルクルとボビンに巻きつける作業は思ったよりも簡単でした。
糸を持ちながら10センチくらいの幅を左右に往復にしながらボビンに巻きつけていきます。カラカラと回る音が心地良く、一度教えていただければ一人でもすぐにできるようになりました。
丁寧な指導のもと、片足を踏み込み、上下のタテ糸の間にボビンをセットしたシャトルを通します 。※参加者によっては介助者の助けが必要になる場合があります。
一度通したら足を踏み変えて「おさ」を手前に引きます 。
「おさ」を引くと手織りしている実感が湧いてきます。「手前まで強く引けば生地が固く、弱く引けば生地が柔らかくなるのでお好きな力加減で自由に調整して下さいね」というスタッフさんからの声掛けで『さをり織り』の決まりのない自由さを感じました。
踏み変えを忘れたり「おさ」を引き忘れてもシャトルがタテ糸の間をすり抜けるだけなので、失敗を恐れず気軽に緊張せずどんどん進めることができます。
だんだん一人でも作業ができるようになるので気がつけば没頭してしまいます。
「同じ色を織り続けるのも良いですが、いろいろチャレンジしてみましょう」とスタッフの方が別の糸を織り込む技術を伝授してくださいました!
織っている糸とは別の糸を絡めて糸と糸がクロスする位置を好きな位置まで持ってきたら足を踏み変えて「おさ」を手前に引きます。
すると途中で別の色に変わった生地が出来あがります。
「どこまで別の色を絡めていくかどの位置で色を切り替えるかも自由なのでこのままでも良いですし、また一色に戻しても良いですよ」と再び『さをり織り』の自由さを感じるアドバイスを受けました。
余り糸も自由に使うことができます。選んだ余り糸をシャトルを通す位置に置いて織り込みます。
余り糸は綺麗に置かないといけないのか質問すると「無造作のほうが味があって良いですよ」とのことでさっと置いて織ってみました。
するとこんな感じで生地にアクセントが。
取材の兼ね合いもあり糸を選んで織った時間は1時間強でしたが、それでも70cmの生地ができました 。スタッフが出来上がりを見て第一声に「わぁ、可愛らしいのができましたね」と笑顔でおっしゃってくださったので嬉しくなってしまいます。
仕上げはスタッフさんのほうでしてくださるので、体験はここまでで終了 。
そして今回の体験でできた完成品がこちら。
今回の体験は1時間強でしたが、体験コースは2時間あり、子どもでもマフラーができるそうです。生地の使い方は自由で「タペストリーやテーブルセンターにも使用できますよ」とアドバイスをいただいたので、今回はテーブルセンターとして使おうと思います。
生地のはじの処理方法と洗濯の仕方も丁寧に教えていただけたので、これからは作品として生地を大切にしていけそうです。
施設にはギャラリーがあり、ポーチやストール、手帳カバーやスリッパなどの作品も飾られていて一部購入することもできます。
初めてのさをり織り体験で最初は緊張しましたが、正解も失敗もない自由な織り方のおかげで最後まで楽しく織ることができました。
慣れてくると一人で集中して織ることもできますが、体験者のペースを大切にしつつ、スタッフさんが新しいアレンジのヒントを教えてくれるのでリラックスしてさをり織りを楽しむことができました。
足と手を使って進める手織りは考え事やストレスも忘れて没頭することができます。自分の好きなように織ることのできる自由さや失敗を失敗としない個人の表現を大切にしたさをり織りは心が癒やされる体験となるでしょう。
世界に一つだけののオリジナル作品が作れて心も洗われるさをり体験にぜひ挑戦してみてはいかがでしょうか。
介護アンテナ編集部Kaigo Antenna Editorial Department
プロフィール
株式会社ベネッセスタイルケア運営の介護アンテナ。編集部では、ベネッセの25年以上にわたる介護のノウハウをはじめ、日々介護の現場で活躍している介護福祉士や介護支援専門員(ケアマネジャー)、看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などの高齢者支援のスペシャリストたちの実践知や日々のお仕事に役立つ情報をお届けします!
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