公開日:2019/09/08

更新日:2022/01/21

介護職の出発点・介護職員初任者研修の内容と資格取得のメリット

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介護職のスタートラインともいえる「介護職員初任者研修」。講座の内容や旧ホームヘルパー2級との違い、資格取得のメリットなどを紹介します。

介護職の出発点・介護職員初任者研修の内容と資格取得のメリット

介護職の出発点・介護職員初任者研修の内容と資格取得のメリット

介護職として「ステップアップしたい」「キャリアアップしたい」と考えている方にとってのスタートラインともいえるのが、「介護職員初任者研修」です。

最近では、家族の介護に携わる方にとっても、基本的な介護の知識や技術が習得できるとあって、注目を集めている資格のひとつでもあります。

ここでは、介護職員初任者研修の内容や資格取得のメリット、旧ホームヘルパー2級との違いから資格取得後の活躍の場まで、詳しく解説します。

介護職員初任者研修とは?

https://www.kaigo-antenna.jp/kaigo-maruwakari/kaigo-qualification/qualification_001/detail-56/

介護職員初任者研修は、介護の基礎知識を習得できる、いわば入門資格です。厚生労働省は「在宅・施設を問わず、介護職として働く上で基本となる知識・技術を習得する研修」と定義しており、研修を受講して修了試験に合格すれば、誰でも取得することができます。

介護職員初任者研修とは、介護の基本的な知識・技術を習得できる資格です。名称に「研修」とついていますが、約130時間の受講に加え、筆記試験があり、それに合格しなければ取得することができません。

介護の資格は、比較的難度の低い資格から国家資格まで多岐にわたりますが、介護職員初任者研修は、取得までに必要な期間も1.5ヵ月~4ヵ月程度と短く、それほど難易度も高くありません。

無資格でも介護の仕事を行うことはできますが、初任者研修以上の資格を持っていることが条件の求人案件も多い上、有資格の方に比べて給与が低い傾向がありますので、介護職をはじめる前にとっておいたほうが良い資格といえるでしょう。

介護職員初任者研修受講の流れ

介護職員初任者研修は、講義と実習で構成される研修を受講し、全課程を修了した後に試験に合格することによって取得することができます。

研修は約130時間、試験は実技評価と筆記試験1時間です。

研修で学ぶ内容と時間数

  • 職務の理解:6時間
  • 介護における尊厳の保持・自立支援:9時間
  • 介護の基本:6時間
  • 介護・福祉サービスの理解と医療の連携:9時間
  • 介護におけるコミュニケーション技術:6時間
  • 老化の理解:6時間
  • 認知症の理解:6時間
  • 障害の理解:3時間
  • こころとからだのしくみと生活支援技術:75時間
  • 振り返り:4時間

研修は、レポート提出と添削によって基礎知識の習得を目指す自宅学習と、体を動かして実技を学ぶ通学講座を組み合わせて行われます。

通学するスクールにもよりますが、だいたい1ヵ月半から4ヵ月ほどが修了までの期間の目安です。

全課程を終えたら、カリキュラムを受けたスクールで試験を受けます。試験は講座で学習してきたことの定着度を見るもので、それほど難しくはありません。しっかり復習をして臨むことが大切です。

研修と試験をクリアすると、10日から1ヵ月程度で修了証明書が発行され、専門職として実際に現場で働くことができるようになります。

旧ホームヘルパー2級との違い

介護職員初任者研修は、従来の「ホームヘルパー2級」にあたる資格です。複雑化してキャリアパスが見えづらい状況にあった介護の資格制度を整備した際、知識・技術習得の第一段階として、名称と取得条件を変更して導入されました。大きな違いは、以下のとおりです。

研修時間

  • 介護職員初任者研修:130時間(講義と演習を同時並行的に学ぶ)
  • ホームヘルパー2級:130時間(講義、演習、実習に分かれる)

施設研修の有無

  • 介護職員初任者研修:なし
  • ホームヘルパー2級:あり

修了評価(試験)

  • 介護職員初任者研修:あり
  • ホームヘルパー2級:なし

施設実習がなくなった代わりに、実技実習時間が大幅に増え、認知症に関する講義が新設されたほか、「こころとからだのしくみと生活支援」のカリキュラムのボリュームが大幅に増加しています。

なお、過去にホームヘルパー2級を取得した方は、介護職員初任者研修の修了者と同等の能力を有するとみなされますが、取得資格名は「訪問介護員養成研修2級課程修了」となります。

介護職員初任者研修修了のメリット

介護職員初任者研修を修了すると、介護職として活躍するための基礎技術および知識を習得できるほか、さまざまなメリットがあります。

仕事の幅が広がる

介護職員初任者研修を修了すると、利用者の体にふれる身体介護の仕事ができるようになり、関われる業務の幅が広がります。また、事業所での業務のほか、ご利用者の自宅にお伺いして身体介護や通院介助を行う訪問介護サービスにもホームヘルパーとして携われるようになります。

給与アップや昇格が見込める

勤務する施設の規定によりますが、多くの場合は資格取得者には資格手当がついたり、昇格したりしやすくなる可能性があります。また、現在の職場からの転職を考えた際も、自身のアピールポイントのひとつとして活用することができます。

キャリアアップしやすくなる

介護の資格にはさまざまな種類がありますが、中でも上位に位置するのが国家資格である介護福祉士です。

介護福祉士は、身体介護や生活支援のほか、介護計画を作成したり、利用者への相談や助言を行ったりと、現場サービスの中心的な存在として活躍が期待される重要な存在です。

取得には厚生労働大臣が指定した養成施設を卒業するか、3年以上介護などの業務に従事した上で介護福祉士国家試験に合格する必要があります。

介護職員初任者研修は、介護の総合的な基礎知識を習得するためのものなので、介護福祉士へのステップアップを目指す方の第一歩につながります。

介護職員初任者研修修了者の声

介護職員初任者研修修了者のメリットは、座学・実習を問わず、介護の現場で実際に役立つイメージを持ちながら知識と技術を習得できることです。

特に通学講座は、講師の話を聞くだけでなく受講者同士でグループワークをしたり、講師から現場のエピソードを聞いたりして具体的な仕事のイメージを膨らませることができるので、講座を通して「つらい」「きつい」といった介護に対する先入観が変わった方も多いようです。

家族の介護に役立つ知識を身に付けたいという思いで資格取得を目指し、結果として介護福祉の仕事に就く方も少なくありません。

介護職員初任者研修は、キャリアのスタート地点

介護職員初任者研修の取得には、特別な条件がなく、介護に興味がある方、介護の知識を身に付けたいという意欲がある方なら、誰もが取得できる資格です。

自宅学習と通学による学習を組み合わせた受講スタイルで、比較的短期間で働きながらでも資格取得を目指すことができるので、多忙な方でも挑戦しやすいでしょう。

介護職としてのキャリアのスタートとして、また介護の知識習得の足がかりとして、介護職員初任者研修取得を目指すことをおすすめします。

著者プロフィール

介護アンテナ編集部Kaigo Antenna Editorial Department

プロフィール
株式会社ベネッセスタイルケア運営の介護アンテナ。編集部では、ベネッセの25年以上にわたる介護のノウハウをはじめ、日々介護の現場で活躍している介護福祉士や介護支援専門員(ケアマネジャー)、看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などの高齢者支援のスペシャリストたちの実践知や日々のお仕事に役立つ情報をお届けします!

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