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この記事では高齢者の骨粗しょう症で、介護者が知っておきたい原因や薬物療法とそのリスクなどについて、医療法人社団 悠翔会 理事長・診療部長で医師の佐々木淳先生が動画でわかりやすく解説します。(2022年12月の情報です)
みなさんは骨粗しょう症という病名を聞いたことがあると思いますが、これは骨の老化現象そのものです。加齢とともに骨がだんだん脆くなって、骨折しやすくなってしまう状態のことを骨粗しょう症と言います。
80歳くらいまで長生きすると女性の場合は約8割の方が、男性は約5割くらいの方が骨粗しょう症になります。
なぜ骨粗しょう症は起こるのでしょうか。
実は骨というのは毎日新しいものに生まれ変わっています。だいたい2週間から2ヶ月くらいで、新しい骨に入れ替わるといわれています。
骨には古い骨を分解する「骨吸収」という機能と分解された場所に新しい骨を作る「骨形成」という2つの機能があり、歳をとると古い骨を吸収するスピードに新しい骨を作っていくスピードが追い付かなくなっていく。それによってだんだん骨がもろくなっていくということが分かっています。
これは加齢に伴うことですが、なんとかしようということであれば、薬で治療していくということになります。
これまでは骨形成のために、カルシウムやビタミンDのように骨の材料を摂取することが一般的だったのですが、実は歳を取るとカルシウムやビタミンDをたくさん取っても骨を作る力自体はそんなに強化できないことがわかっています。
最近の骨粗しょう症の治療薬の多くは、古い骨を分解するスピードを抑えることで、骨の密度を低下していくのを抑える、そのようなアプローチが主流になっています。
骨粗しょう症の薬物療法としては、大きく分けると飲み薬の治療と注射による治療があります。どちらも比較的効果があって、一定期間治療することによって骨がある程度頑丈になることが分かっているのですが、実は合併症のリスクもあります。
一番良く知られているのは、「顎骨壊死」という顎の骨が溶けてしまう怖い病気です。これは口の中の状態があまりよくないと起こりやすいということが分かっています。
骨粗しょう症の治療をするときには、並行して口腔ケアをきちんとしていくことが重要になります。
これまで骨を強くするために必要だと言われていた、カルシウムやビタミンDを含む食品をたっぷりと摂ったり、日光に当たったり、体を動かすといったことも、もちろん骨を頑丈にするには大切なことです。
ただ上記のような生活習慣の改善だけでは加齢に伴う骨密度の経過に対抗できませんので、適宜必要に応じて薬を使いながら、できるだけ頑丈な骨を長く保っていく、それによって健やかに長く生活できる期間を確保していただければと思います。
さらに詳しく知りたい方は佐々木先生の書籍もおすすめです。ぜひご覧ください。
介護アンテナ編集部Kaigo Antenna Editorial Department
プロフィール
株式会社ベネッセスタイルケア運営の介護アンテナ。編集部では、ベネッセの25年以上にわたる介護のノウハウをはじめ、日々介護の現場で活躍している介護福祉士や介護支援専門員(ケアマネジャー)、看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などの高齢者支援のスペシャリストたちの実践知や日々のお仕事に役立つ情報をお届けします!
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