公開日:2022/12/22

更新日:2024/03/18

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高齢者の高血圧|介護者が知っておきたい基礎知識と降圧薬の副作用

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この記事では高齢者の高血圧で、介護者が知っておきたい基礎知識と降圧薬(血圧を下げる薬)の副作用などについて、医療法人社団 悠翔会 理事長・診療部長で医師の佐々木淳先生が動画でわかりやすく解説します。(2022年12月の情報です)

高齢者の高血圧|介護者が知っておきたい基礎知識と降圧薬の副作用

高齢者の高血圧について介護者が知っておきたい原因、治療開始の血圧の目安や薬の副作用など

高血圧とは

高血圧と聞くと病気だとお考えになる方が多いと思いますが、一般的には高血圧というのは血圧が上昇した状態を指します。

30代や40代で血圧が高い場合はたしかに病気かもしれません。しかし、高齢者の場合この血圧の上昇の原因の多くが血管の老化に伴う動脈硬化です。

高齢者の高血圧の原因は老化に伴う動脈硬化

高齢者の高血圧|介護者が知っておきたい基礎知識と降圧薬の副作用

年をとると血管の弾力が徐々に低下していきます。また、血管そのものの壁が分厚くなって血管の内側がどんどん狭くなっていきます。(血管の老化現象)

そうして狭くなった血管に血液を流すために体が頑張って圧力を上げるために血圧があがる。これが高齢者の高血圧の仕組みです。

高齢者の高血圧の治療について

高齢者の高血圧|介護者が知っておきたい基礎知識と降圧薬の副作用

前述したとおり、高齢者の血管は内側が狭くなっているため、血圧を下げると血流が悪くなってしまい具合が悪くなってしまう可能性があります。

高齢者はよく転倒しますが、高血圧の薬による下げすぎは高齢者の転倒の大きな原因の一つと言われています。

また、必要以上に血圧を下げると元気がなくなったり、脳梗塞や心筋梗塞の原因になることもあります。したがって高齢者の場合は、血圧は下げすぎない、というのがひとつのポイントになります。

高齢者における高血圧治療開始の血圧の目安

高齢者の高血圧|介護者が知っておきたい基礎知識と降圧薬の副作用

高齢者の場合、個人差もありますが下記の数値が目安になります。

  • 上:140㎜Hg前後
  • 下:80㎜Hg前後

※個人、医師の判断により異なります

降圧薬(血圧を下げる薬)服用の際に気を付けること

高齢者の場合、血圧が高いだけでなく実は自律神経の働きも低下していますので、ちょっとしたことで血圧が上昇したり、逆に下がりやすくなったりすることもあるため、注意が必要です。

例えば正常者でも、立ち上がった際に上の血圧が20㎜Hgくらい下がることがあります。また、食後は「食後低血圧」といって上の血圧が下がることがあります。一方で少し、体に刺激があると、20㎜Hgくらい上昇することもあります。

上の血圧が140㎜Hgくらいですと、20㎜Hg上がっても下がってもそんなに体に大きな害はありませんが、上の血圧が120㎜Hgや110㎜Hgまで下がってしまうと、そこから20㎜Hg下がったときに、脳の循環が維持できなくなって転倒などを起こす危険があります。

高血圧の治療について

高齢者の高血圧|介護者が知っておきたい基礎知識と降圧薬の副作用

血圧の治療にはいくつかの薬を使います。ただこれらの薬にはいずれも副作用のリスクがありますので、やはり注意が必要です。

降圧薬の副作用例

  • 足がむくむ
  • 口が乾く
  • ちょっと元気がない

高齢者で上記の症状が出た場合、紐解いてみると実は原因は降圧薬の副作用だったということはよくあります。高齢者によくある症状ですが、「歳のせいだ」あるいは「何か新しい病気が出てきたんじゃないか」と疑う前に、血圧の薬の副作用について医師や薬剤師に相談してみましょう。

高血圧を正しく理解し、ケアに役立てましょう

高齢者の高血圧◎知っておきたい基礎知識と降圧薬の副作用

高齢者の血圧の上昇は生理的な現象という側面もあるということを理解することが大切です。高血圧を治療する場合には下げすぎないということを意識するとよいでしょう。

併せて、降圧薬には副作用があるため、服薬に際して体調に変化があった場合は医師や薬剤師などに相談して、薬の適正化を行いましょう。

佐々木先生の書籍もおすすめ!

さらに詳しく知りたい方は佐々木先生の書籍もおすすめです。ぜひご覧ください。

関連書籍在宅医療のエキスパートが教える 年をとったら食べなさい|著者:佐々木淳|飛鳥新社

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解説していただいた医師

佐々木 淳Jun Sasaki

プロフィール
医療法人社団悠翔会 理事長・診療部長

医療法人社団 悠翔会|公式ホームページ

1973年京都府生まれ。1998年筑波大学医学専門学群卒業。社会福祉法人三井記念病院内科/消化器内科、東京大学医学部付属病院消化器内科等で勤務したのち、足を踏み入れた在宅医療で「単に治療する医療ではなく、総合的に患者を診て、その幸せを支える医療ができる」ことを実感し、2006年に最初の在宅療養支援診療所を開設。2008年 医療法人社団悠翔会に法人化、理事長就任。2021年 内閣府・規制改革推進会議・専門委員。現在、首都圏ならびに沖縄県(南風原町)、愛知県(知多半島)、鹿児島県(与論町)に全21クリニックを展開。約7,300人の在宅患者さんへ24時間対応の在宅総合診療を行っている。

著者プロフィール

介護アンテナ編集部Kaigo Antenna Editorial Department

プロフィール
株式会社ベネッセスタイルケア運営の介護アンテナ。編集部では、ベネッセの25年以上にわたる介護のノウハウをはじめ、日々介護の現場で活躍している介護福祉士や介護支援専門員(ケアマネジャー)、看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などの高齢者支援のスペシャリストたちの実践知や日々のお仕事に役立つ情報をお届けします!

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