台風や地震などの災害発生時には、停電・断水・浸水・ガス停止などさまざまな事象が起こることがあります。災害への対応については、施設のある地域や規模などにより異なるので、各施設でシミュレーションを行い、あらかじめ対策をたてておきましょう。この記事では施設・居住系サービスにおいての各事象の対応策の一部をご紹介します。
施設にはあらかじめ非常時用の明かり(照明器具)が備蓄品として用意してあると思います。一概に照明器具といっても、さまざまな種類があります。ここでは、備蓄品として用意しておくと便利な照明器具をご紹介します。
照明器具は電池が必要なものが多いです。電池を十分に準備するとともに、電池が不要な器具なども取り入れるといいでしょう。
照射範囲が狭いコンパクトな懐中電灯でも、袋をかぶせたり、ペットボトルと合わせて利用することで、照射範囲を広げて、ランタンのように利用することもできます。
携帯発電機は、停電時でも携帯やスマートフォン、パソコンの充電ができ、また照明などの電源確保にも利用できます。
停電時に備え、用意しておくことをおすすめします。ここでは、備蓄品として用意しておくと一般的な携帯発電機の一部をご紹介します。
※発電機使用にあたっては、取扱説明書を確認しましょう
停電時・地震発生時・火災発生時、エレベーターは最寄階で扉が開きます。エレベーターのある施設ではエレベーターが停止した際は必ず中で人が閉じ込められていないか確認しましょう。
自動ドアは、停電時では手動で開閉できてしまうものも多いため、鍵やロープなどで施錠を行いましょう。ご入居者の行方不明事故などの二次被害を未然に防ぐことができます。
電気復旧時に、自動で「扉の開閉運転」が発生する場合があります。停電時に開錠している場合は、行方不明事故に注意しましょう。
電気復旧時に予期しない電化製品が作動したり、破損したコードから通電火災が発生することがあるため、復旧前にブレーカーを落としておきます。
介護施設の給水方式は下記の画像のいずれかの場合が大多数です。自分の施設がどの方式で、停電による断水が起こった場合も給水ができるかどうか確認しておきましょう。
断水時(停電時)、排水ができる場合は、トイレを利用したらバケツなどで水を便器ボウル面の中心をめがけて勢いよく流します。
排尿時は、水を流すことを複数回分をまとめて1回にするなど、水の節約を心がけましょう。
自治体や気象庁などの洪水警報・浸水警報の情報にも注意し、浸水前に防水版(止水板)や土嚢などを設置します。設置時に手などに怪我をしないようにする為、軍手や手袋を使用しましょう。
※近隣が浸水してからの設置は大変危険です。
※防水板(止水板)や土嚢は完全に浸水を止める事は出来ません。
都市ガスもプロパンガスも震度5程度以上の地震を感知すると、安全装置が作動して自動的に緊急停止となります。ガス臭い場合はガス会社に連絡しましょう。
※停電時はガスの使用はしない。給排気が停止しているため、一酸化炭素中毒の危険性が有ります。
ガス漏れが起きていない、ガス器具に損傷がないなど、状況によっては復旧できる場合があります。あらかじめ、自分の施設のガス復旧方法について確認しておきましょう。
ガスの復旧は、都市ガス・プロパンガス共にマイコンメータというマイコン制御器つきの遮断機能のあるガスメーターで行います。自分の施設のどこにマイコンメーターがあるか確認しておくのも大切です。
上記は一般的なプロパンガスのマイコンメーターです。(都市ガスや同じプロパンガスでも形が異なる場合があります)
マイコンメーターの復帰ボタンが点滅している場合は復旧が可能です。
すべてのガス機器の運転スイッチを切るなどして、停止します。屋外の給湯器なども忘れずに停止させましょう。ガスの元栓を閉めた後、マイコンメーターの復帰ボタンを押します。
約3分間待ち、ボタンの点滅が消えていればガスが使えます。消えても使えない場合はガス会社に連絡しましょう。
すべてのガス栓・器具栓が閉まっていることを確認し、マイコンメーターの復帰ボタンを押します。
約1分間待ち、液晶の表示が消え、ボタンの点滅が消えればガスが使えます。消えても使えない場合はガス会社に連絡しましょう。
上記でご紹介した対応方法はあくまで一般的な対応方法で、すべてのケースに当てはまるわけではありません。
地震が起き、停電と断水が発生した場合、台風で浸水、停電が発生した場合など災害発生時には複合的にさまざまな事象が発生します。
地域特性や施設の規模などを踏まえたうえで、いざというときに、一人ひとりが自ら判断し、動けるように準備しておきましょう。
介護アンテナ編集部Kaigo Antenna Editorial Department
プロフィール
株式会社ベネッセスタイルケア運営の介護アンテナ。編集部では、ベネッセの25年以上にわたる介護のノウハウをはじめ、日々介護の現場で活躍している介護福祉士や介護支援専門員(ケアマネジャー)、看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などの高齢者支援のスペシャリストたちの実践知や日々のお仕事に役立つ情報をお届けします!